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警察の怪談(創作編)―百鬼巡邏― ブログトップ

[再掲]消える銃声 [警察の怪談(創作編)―百鬼巡邏―]

「警察の怪談(創作編)―百鬼巡邏―」というマイカテゴリーを追加した。

以降、書き忘れることがあるかもしれませんが、
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。



消える銃声

元警察官のYさんが警察学校の初任科生だった時の話だ。
刑法だったか刑事訴訟法の講義だったかはっきりしないが、射撃訓練が始まる前のことだったとYさんは記憶している。

Yさんの所属するH教場で、講義の途中で雑談をしていた教官が
「拳銃の発射音って、どういう音がするか知ってるか?」
唐突にそんなことを言い出した。

同じ交番で警察官の拳銃自殺が相次ぐという事件があったころだったが、教官はべつにその事件に言及したわけではなかった。

「バキューンって、音だと思うだろ。刑事ドラマの効果音もバキューンだよな。でも、あんな音じゃないんだ。」と、教官は言った。

初任科生の「教官は聞いたことがあるんですか」との問に、教官は頷いた。それは10年ほど前のことだったという。

その日、教官は関西方面への出張のため東京駅から新幹線に乗る予定だった。中央線から乗り換えのために新幹線ホームへ急いでいると、突然、パーン、という乾いた音がした。交番勤務の警察官の拳銃自殺に遭遇したのだ。

「パーンっていう乾いた音だ。袋に空気をためて破裂させたようだった。」と教官はいう。
火薬が破裂する音だから、爆竹のようにパン、という乾いた音がする。それに駅だったことから反響音もあって、結構大きな音だった。

「君らも、射撃訓練で実際に聞くと思うが、銃声は結構大きいぞ」
警察学校の室内射撃場ではヘッドフォン式のイヤーマフや耳栓を使用するくらいだから、当然だ。

すぐに警察官が来て、規制線が張られ救急車が来る前にブルーシートで覆われてしまった。その日の夜の報道で知ったことだが、彼はすでに亡くなっていた。

拳銃自殺は、場合によっては銃刀法違反の発射罪に問われることになる。ただ警察署や交番での拳銃自殺は、トイレや奥の仮眠室、庭など閉ざされた空間が現場の場合が多いため、発射罪に問われることがないだけだ。

東京駅の場合は、平日の午前9時ごろ、東京駅構内にある交番の机付近で、目の前を通勤客らが歩いていたこともあって、自殺した警察官が被疑者死亡で発射罪に問われた。

そんな報道があって、実際に警察官の自殺事案を調べたら、ちょっと、気になることがあった。

千葉県警の非常階段であった事案や東京駅の事案では、パーン、という銃声が聞こえたと報道されているのだが、調べた事案の約半分で銃声に言及されず、拳銃自殺があった警察施設に警察職員がいた場合でも、拳銃の発射音を聞かなかったと報道されている事案がいくつもあった。

特に島根県警出雲署1階女性用仮眠室、警視庁荻窪署7階の単身寮、茨城県警本部分庁舎トイレ、大阪府警西堺署トイレ、愛知県警中署トイレなどの事案は、物理学的には銃声が聞こえるはずだが、銃声は聞こえなかったとの警察職員の証言が報道されている。つまり、銃声が消えているのだ。

「図書館に行って新聞記事を検索すれば、誰でも確認できることなんだが、警察施設内で銃声が消えているんだよな」
そう言ってから教官は、
「本当に銃声が消えてるんだよ。これって、・・・怪談だよな。」と、つぶやいた。

外部から来ていたその教官は、その日以降警察学校に来なくなった。講義を受けていた初任科生の誰かが、H教場のH教官に「消える銃声」の話をしたところ、契約を打ち切られたのだ。







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[再掲]机のひきだし [警察の怪談(創作編)―百鬼巡邏―]

「警察の怪談(創作編)―百鬼巡邏―」というマイカテゴリーを追加した。

以降、書き忘れることがあるかもしれませんが、
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。


机のひきだし

Tさんの勤務するN県警察には呪いのデスクという怪談がある。

何処の警察も同じだが警察職員には、警察官のほかに一般職員がおり、一般職員には常勤と非常勤がある。この非常勤職員には警察家族が多い。警察家族というのは警察官の家族という意味でJPファミリーなどとも呼んでいる。

警察の方では警察官の不祥事予防として、若い警察官が多い部署に年頃の警察家族の娘を非常勤職員としておくわけだが、多くは警察官に見初められてめでたく結婚ということになり、警察職員の姻戚関係が作られ、警察家族の結束はさらに盤石なものになるという。

警察家族にも序列があり、最下層に位置づけられる警察家族には非常勤職の話などは回ってこないが、何かの間違いで採用されてしまうこともあり、そんな時には悲劇が起こる。

悲劇といっても、本人が気にしなければ何でもないことなのだが、そうしたことの方が精神的にはキツイもので、自殺者を出したりするのが世の常である。

やはりN県警でも、最下層の警察家族の娘が非常勤職員に採用されてすぐに、非常勤職員にもかかわらず所属長の意に沿わぬといって、退職を余儀なくされたことがあった。余儀なくされたと言っても、同じ所属のだれからも挨拶をしてもらえなくなったり、悪いうわさを流されたりといった程度のことであった、とTさんはいう。

その娘の後へ新しい非常勤職員を入れたが、数日してその非常勤職員は来なくなった。警務課の方では不祥事の方が心配なのでまた別の非常勤職員を入れたが、その非常勤職員も数日すると来なくなった。

警務課の方ではなんと非常勤職員の落ちつかない席だろうといいつつも、また別の非常勤職員を入れた。だが、それも数日すると来なくなり、そのあとも、一人二人入れてみたがそれもすぐ来なくなった。

所属長の性的な嫌がらせを疑った警務課が、来なくなった非常勤職員一人一人に事情を聴取してみると、退職を余儀なくされた非常勤職員のいた席で仕事をしていて、その席のひきだしを開けると、人が来て立っているような気がして、仕事をやっていられないので来なくなったと判った。

そこで警務課の職員が非常勤職員のいた席の机のひきだしを外して中を点検すると、髪の毛が巻き付けられた人形(ひとがた)が見つかった。

その髪の毛を鑑識に調べさせろという意見もあったが、退職理由を明確にしなければならないので、返って不都合だということになり、その話はうやむやとなった。

N県警では、その机にお札を貼って今も使っているのだ、とTさんは言っている。




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[再掲]鑑識課のミスプリント [警察の怪談(創作編)―百鬼巡邏―]

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この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。



鑑識課

F県警察本部の監察官をしていたF県警察OBのT氏から聞いた話だ。

その当時、組織内で使用する証明写真の類は、鑑識課の職員が撮影し現像していたという。ある時、K警察署の新任の巡査の証明写真が必要になり、警務課の方から写真撮影の手配をした。

警務課から鑑識課に出向くよう指示されたK警察署の地域課の巡査が、警察本部の鑑識課へ来ると、鑑識課員のA巡査部長が写真を撮った。

ところが、写真を現像するとミスプリントだった。そのため、鑑識課のA巡査部長は警務課に依頼して、ふたたびK警察署の巡査を呼んでもらったという。

警務課から鑑識課に出向くよう指示されたK警察署の地域課の巡査は、警察本部の鑑識課へ来た。こんどはA巡査部長ではなく、一般職員のB係長が写真を撮った。

おかしなこともあるもので、現像してみるとまたミスプリントだった。

鑑識課の方から、監察官室に連絡が入った。鑑識課によると、現像におけるミスプリントというのは、手振れやピンボケではなく、写るはずのないものが写っていたということだという。

K警察署の巡査の写真に、おかっぱ頭の女児が写り込んでいるというのだ。

その話を取り次いだのがT氏だ。監察官室にいると、そういった報告もないこともないので、室長に報告するとさっそく、写真撮影をした監察課員たちを呼びつけろとなった。

写真とネガを確認すると、たしかに写真におかっぱ頭の女児が写っていたが、鑑識課員たちは、写真撮影の時には巡査の近くには誰もいなかったと証言したという。T氏はいぶかしく思ったが、そもそも、警察本部の鑑識課に女児が勝手に入れるはずもなかった。そこでK警察署の巡査を監察官室に呼ぶことにしたという。

T氏が巡査を呼んで、写真を見せたところ、巡査はわなわなと震えだし、いたずら目的で複数の女児を誘拐していたことを、話しだしたという。

これがのちに巡査による女児連続誘拐事件と呼ばれる事件で、T氏が監察官だった時に発覚した最も大きな不祥事事件であった。この事件は、F警察発表ではわいせつ目的の女児連続誘拐と報道された。

卑劣な犯罪であることには変わりないが、さいわい巡査に命を奪われた女児はいなかった、とT氏はいう。

では鑑識課の写真に繰り返し写ったおかっぱ頭の女児は、なんだったのだろうか。


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[再掲]警察署の駐輪場 [警察の怪談(創作編)―百鬼巡邏―]

「警察の怪談(創作編)―百鬼巡邏―」というマイカテゴリーを追加した。

以降、書き忘れることがあるかもしれませんが、
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。



駐輪場

女性巡査のGさんによると、その駐輪場はとある地方都市の警察署にあるという。

その駐輪場は、いつも庁舎近くにある倉庫側のスペースが空いていて、そこにバイクや自転車をとめると事故に遭うと言われている。事故に遭った警察職員に聞くと、血だらけの男が飛び出してきそれを避けて転んだ。いや頭がつぶれた女だったと、話が一定しない。

人事異動で、新しくこの警察署に転勤してきた者で、若くて威勢のいい警察官は必ずこの駐輪場にバイクを止める。警察官はみんなバイクの免許を持っているから、少々不便な勤務地ではバイク通勤が多い、だから駐輪場は庁舎の近くに新参者は駐車できない。

だから、新参者は小言を言われないように不便な場所に止めるか、あの空いたスペースに止めるしかない。そして、事故に遭う。

新参者のF巡査は駐輪場のあのスペースにバイクを止めた。F巡査は白バイ隊を目指しており、バイクのテクニックには自信をもっている人物だったこともあり、周囲の心配をよそに、事故に遭うことはなかった。

だがやはり、血だらけの男が飛び出してきたり、頭がつぶれた女がバイクの後ろに乗っていたり、老人が背中にしがみついていたりと、バイクの運転中にそんな幻覚を見る、と警務課に相談に来た。

当時、警務課で庶務を担当していたGさんは、F巡査の話を聞いて、
「警察という場所柄、そういった現象はないということですので事前にお伝えしませんでしたが、今F巡査がバイクを止めている場所にバイクや自転車を止めると、不思議なものを見て、事故に遭うんです。」とF巡査に伝えた。

その駐輪場の土間は周囲のアスファルト舗装よりちょっと高くなっており、その上にポリカーボネート板の屋根がついているというよくあるもので、駐輪場のそのスペースに曰く付きのシミがあるとか、そういったこともGさんが記憶する限りない。

Gさんの話を聞いたF巡査は、科学万能の現代にそんな非科学的なことがあるはずないと、ガウスメーターやガイガーカウンターを買ってきて、その場所を調べたが、特に変わったことはなかった。

F巡査が調査の結果を警務課長や副署長に報告し、結局気のせいだという結論に傾いたとき、みんなが避けてる会計課の万年巡査長が、
「あそこは、死体置き場やったんや、若い奴は知らんやろな、昔は霊安室なんかなかったから、事故とかで救急車が持ってってくれんかったもんはみんなあそこに置いとったんや。駐輪場横の倉庫棟に霊安室を設ける前の話や。」と言った。

F巡査は、その後もあの場所にバイクを止めていたが、半年ほどで機動隊へ送られた。

ガイガーカウンターでホットスポットを見つけてしまったことが新聞ネタになったためだ。





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[再掲]「警察学校の怪談――片腕の男」という怪談を書いてみた。 [警察の怪談(創作編)―百鬼巡邏―]

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以降、書き忘れることがあるかもしれませんが、
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。


以下、「警察学校の怪談――片腕の男」

警察学校を卒業する前に、H県警を退職したAさんの話だ。

H県警察学校には、幽霊が出る。ただこの幽霊を目撃するのは、初任科生の警察官と一般職員に限られている。毎年20人前後が幽霊を見たといい、幽霊を目撃したといった初任科生の半数は退職するという。Aさんもその一人だ。

Aさんによると、H県警の警察学校では副校長のポストはH県の高校教師が充てられていた。当時の副校長は元県立高校教頭のHさんだった。このHさんの騒ぎは当時警察学校の噂になったという。

その日、Hさんは警察官募集広報関係の書類の整理があり、教官室に残っていた。夜の十時ごろ、教官室に残っているのは、もうHさんだけだった。

仕事に一区切りがついたころ、ガラガラと入り口の戸を開ける気配を感じたHさんが、何気なく顔を上げると、戸口のところに男が立っていた。20代位の男だった。その男は戸口から半身を乗り出して、何かを探すかのように職員室の中を覗き込んでいた。初任科の寮生が来たと思ったHさんが、

「こんなとこで何してる。どこの教場だ」

そう訊いいても、男はHさんを無視して、キョロキョロと何かを探していた。

「答えんか」

Hさんが近づこうと席を立っても、男は手近の机をガタガタと動かして、机の中を覗き込み片腕で中を確認していた。そのときHさんは、初任科生ではない、と思った。その男は片腕であった。

Hさんは、この不審者を詰問するつもりで身構えつつ戸口に向かった。すると男はその場を逃げ出した。あとを追うと、男はバランスを崩しながらも廊下を駆け抜け、階段を駆け上がっていった。Hさんは走って追いかけたが、二階から三階へと昇っていき、三階を通り過ぎ、四階のある部屋の前で男の姿を見失った。その部屋は、教養用の資料庫で殉職警察官の遺品を保管している部屋だった。

Hさんは気味悪くなり、逃げ帰ったという。

この年赴任してきたばかりのHさんは、知らなかったが、実はH県警察学校は片腕の幽霊が出ることで有名だった。

この体験の後にも、Hさんは、教場の中で物音がするのを聞いたことがある。部下の教官と一緒に帰ろうとしていたとき、ガタガタと机を動かす音がした。教場の中で机の配置換えでもしているのだろうか。初任科生はとっくに寮に帰っているはずの時間であった。Hさんが部下の教官に同行するよう指示すると、彼は仕方ないなというような顔をした。二手に分かれ、教場の前と後ろの戸を同時に開けた。

「こらあ! さっさと寮へ帰らんかあ」

中の初任科生を驚かしたつもりだったが、教場には誰もいなかった。Hさんがそんな馬鹿なと思っていると、部下の教官は「気のせいですよ」といった。だが今度は隣の教場からガタガタと机を動かす音が聞こえだした。

「こらあ!」

同じようにして隣の教場の戸を開けたが、やはり誰もいない。狐につままれた気分で廊下に出ると、部下の教官の傍らで、片腕の男が半身を覗かせてキョロキョロと何かを探していた。部下の教官は「気のせいでしょ」といって笑っていた。

気味悪くなったHさんは、そのままひとりで帰ったという。

この男は、明治時代にH県T市のK山に逃げ込んだ窃盗犯の逮捕の折に窃盗犯に片腕を切り落とされ、その傷が元で殉職した警察官だといわれている。彼の腕は、ちょうど彼の腕が入るくらいの瓶にホルマリン漬けにされて、今もH県警察学校に保存されている。この腕を探すために、片腕の男の幽霊がでるのだといわれている。悲しいことに、その瓶には御札が張られており、彼には見えず、ずっと探し続けているのだという。

初任科の夜間警邏実習の際、彼の腕の入ったガラス瓶が警邏箱の前に置かれる。この夜間警邏実習は警察官としての肝を試す教養の一つで、H県警察学校の伝統になっている。

Aさんも副校長のHさんが見たという幽霊を目撃したという。同期には女や子供の幽霊を目撃したという者もおり、警察学校はさながらお化け屋敷で、警察学校に幽霊が出るのは公然の事実だったという。

幽霊を見たAさんたちが教官に相談すると、教官たちは、初任科の時に幽霊を見たといって騒いでいた者も、警察官を続けているうちにそんなことはいわなくなるので、そのうち見なくなるのだろうといって取り合わなかった。

Aさんが退職後、警察に勤務する親せきを通じて問い合わせたところ、H県警の見解では幽霊というのは罪業感(同情心からくる)があるから見えるもので、警察学校では警察官としての職務執行にあたって一切罪業感を感じることがないよう、しっかり教養しているので、警察教養を受けていればいずれ幽霊を見なくなるのだという。

ただし、広報公聴規定があるため、警察のイメージを損なうような幽霊の目撃談が、現職の警察職員の口から語られないだけかもしれないと、Aさんの親せきはいっている。



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